なぜ子育てを難しいと感じるのか
子育てほど、充足した気持ちになれるものはありません。
一方で、子育てを難しいと感じる人が多いのも事実です。
なぜ子育ては難しいのでしょうか。
それは、子どもの行動・反応は予測不可能であり、その対応方法は子どもによって違うと考えているからです。
確かに、対応の機微は変える必要はあると思います。
しかし、対応の原理原則は実は一貫しているのです。
子育ては、まずはゴールを設定しなければいけません。
子育ての最終的なゴールの多くは「子どもの自立」である家庭が多いと思われます。
よって、その目標に近づけるために、子どもの行動に対する対応を行っていきます。
その対応の原理原則となるのが「応用行動分析」という観点です。
応用行動分析
応用行動分析とは、人間の行動を、「きっかけ(先行条件)」「行動」「結果」の3つに分けて分析する方法のことを指します。
人間の行動は、大きく「接近」と「回避」の2つに分けることができます。
接近しているならば、「行動によって何を得ているのか」に注目し、回避しているならば、「何から逃れようとしているのか」に注目していくのです。
例えば、歯医者に行くことを嫌がる子どもがいます。
それは、「歯医者に行ったら痛い思いをするのが嫌だ」という回避行動であったとします。
それが、治療が終わったらお気に入りの玩具がもらえるとしましょう。
すると、歯医者に喜んで行くようになりました。
これは、回避感情よりも、接近感情が上回ったからです。
上記は、「結果」に焦点を置いてアプローチした場合。
他にも、「歯医者の道具の音が嫌」ならば、好きな音楽を聞かせながら治療を行えば不快にならないかもと試す。
これは「行動」へのアプローチ。
また、「歯医者に行く時間はいつもお気に入りのテレビ番組があるから嫌だ」という原因であれば、曜日や時間を変えたり、録画をしたりする。
これは「きっかけ」へのアプローチになります。
とにかく、問題となる行動の最中に何をしているのか、前後にどのような行動をするのかを見極め、適切なタイミングにアプローチをしていくのが応用行動分析の観点なのです。
なぜ「叱る」を繰り返すのか
では、なぜ「叱る」という行動を繰り返してしまうのかを見ていきます。
子育てを初めて経験する親御さんは、当然ながら、子育てを専門職としている方々よりも経験は少ないです。
すると、「直させたい行動」を目の当たりにしても、それを改善させるための代替案を思いつかないのです。
「親としての力が不足しているから」ではありません。
そして、それは子どもも同じです。
例え叱られて嫌な思いをしたとしても、よりよい方法が分からないから繰り返してしまうのです。
それでは、どうすればよいのでしょうか。
まず、前提として、「人間は行動を減らすよいも、増やす方が簡単である」ということがあります。
一度習慣づいたことを止めるというのは、予想以上に難しい。
また、行動を減らすために何かを減らしたとしても、減らした1時間を結局ゲーム以外の「減らしたい行動」で埋めてしまうのです。
そこで、具体的にどのように対応していけばよいのかを述べていきます。
叱らずに対応する方法
ここからは、叱らない対応方法を4つに絞って説明します。
まず、「褒める」ということです。
「人間は行動を減らすよりも増やすことの方が簡単」ということを先にも述べました。
「褒める」ということは報酬です。
ここで大切なのは、「完璧な状態」を褒めるのではなく、100の内1できても褒めるということです。
宿題をやるために重い腰を上げただけでも、「自分で決めたね」と褒めることができます。
お片付けを10できなかったとしても、7~8やった上で残りの2~3を子どもにやらせたとしても褒めることができます。
毎回のように「宿題をしなさい」「片付けなさい」と叱られているのならば、「宿題や片付けは嫌な気持ちになる回避したいもの」となって当然です。
それよりも、宿題やお片付けをしたらをしたらどんな報酬を得られるのか、を考えることの方が建設的です。
その報酬の1つが「褒める」なのです。
2つ目は「期待しない」ということです。
これは、子どもの可能性を全く期待しないということではありません。
もちろん、子どものことは信じています。
信じながらも、「親が思う通りに動くわけがない」というメンタリティで接するということです。
すると、「偶然手伝いをしてくれた場面」で感動し、感謝を伝えることができます。
ただ、1回そのような行動をしたからといって、「次も手伝ってくれるかな?」などと期待してはいけません。
また次も、たまたま手伝った場面に気付き、驚きながらも感謝を伝えるのです。
その積み重ねで子どもはいつの間にか、親がやってほしい行動を習慣として行うようになっていきます。
ただ、自分の宿題やお片付けのように、「責任をもってやること」を、たまたまやったときに感謝しても、それは何か違う気がするでしょう。
もし、「責任をもって約束したことをやり切る」人間に育てたいのであれば、約束を破ったときに、イエローカードではなく、レッドカードを使うことが重要です。
旅行を例にあげてみます。
旅行先で、周囲の人たちに迷惑になる行動をしないように約束します。
しかし、これで終わっては駄目です。
「約束を破ったら、連れて帰るからね」と結果まできちんと伝えます。
そして、旅行先でその子どもが大声で迷惑行為をしたとします。
最も失敗する子育ては、「連れて帰ると言ったでしょ!本当に連れて帰っちゃうよ。」と子どもに警告も何度も出すこと。
では、どうするのか。
例え旅行が途中であったとしても本当に連れて帰るのです。
子どもは泣き叫ぶでしょう。
ただ、一度このような経験をくぐると自分の言葉に責任をもつようになります。
そして、親の言葉を重みをもって受け止めるようになります。
たった数回のこのような経験で「約束を守る」ことの重要性を学ぶことができたのならば、旅行を取りやめたことは大いなる価値を生みます。
このようなことを、感情的にならず、淡々と実行するのです。
最後の4つ目は、環境にアプローチするということです。
宿題をしたくないのは、「集中できる環境がない」からかもしれません。
テレビがついていたり、近くにスマホがあったり・・・。
「なぜやらないのか」をじっと見極め、その原因が環境であると判断したときは、環境を変える工夫をするのは親の仕事です。
子どもたちには、そもそも「環境を変える」という思考すらもっていないのですから。
子どもが何を欲しているのかを見極める
私共の「飛び級教育システムラボ」の教材は、子ども自身が、自分の成長や発見を自発的に行えるように教材を組み立てています。
その成功体験を積ませるスーパースモールステップが、子どもが自ら学習に向かう習慣をつくり出すのです。
そして、親御さんはそこに寄り添っていただくようお願いをしています。
子どもの行動を観察し、もし、子どもが不適切な行動をしていれば、その際中、前後にどのような条件があり、子どもが何を欲しているのかを見極めていただきたいのです。
その子どもの「行動」を観察する視点は、家庭学習以外の面でも必ず役に立つことでしょう。
その上で、我々が提供しているような、お子様が自然に自身の成長を感じられる教材を使って、二人三脚で、大切な共同作業である子育てに、携わらせていただけたらと思っています。
皆様と一緒に子どもの未来を語れる時を心待ちにしております。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。