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不登校から見る家庭教育の根幹

心の問題が激増してきている日本

近年の学校現場では、校内暴力や非行といった問題があまり見られなくなってきました。

それと反比例するように、心の問題が浮上するようになってきています。

不登校、うつ病、リストカット、摂食障害などの存在です。

そのような心のストレスを対処しきれない子どもの数が激増しています。

実は、このような問題はある意味必然となって生まれてきています。

心理学にはDoing、Having、Beingという、物事を観察する観点、概念があります。

Doingは行動や仕事、Havingは能力や財産、容姿を指します。

そしてBeingは承認や共感、つまり存在自体が満たされているかを示しているのです。

この観点を用いて日本という国を捉えてみると、現状を説明することができます。

戦後の日本は、焼野原を復興させるために、一致団結して、建物を建てたり、暮らしを立て直したりするために、仕事や生活の運営をとにかく実行していかなければならない時代でした。

これがDoingに集中する段階。

やがて、高度経済成長を迎え、経済的に豊かになり、どの家庭もある程度、便利な生活を送ることができるようになりました。

これがHavingの段階です。

DoingとHavingが満たされたのならば、残るは、あと一つ。

Beingを求める段階です。

だからこそ、SNSでの承認欲求を求めるブームが巻き起こり、承認を得られない人々が堕ちていく状態が起こっているのです。

これが、令和が「心の時代」「共生の時代」と言われている所以、経緯です。

不登校のメカニズムと子どもの真意

それらのことを踏まえた上で、不登校といった問題の詳細をミクロに見てみます。

不登校は、シンプルに言ってしまえば、心のエネルギー不足が引き起こす現象と言えます。

厳密に言えば、「子供因子」「家庭因子」「学校因子」という三つの要素が複雑に絡み合う原因が引き金になっています。

「子供因子」は、子どもの知的レベルや発達障害、不安の強さを示し、「家庭因子」は、家庭内不和、経済的な困窮、家族の精神疾患、虐待などを指します。

「学校因子」は、いじめや課題の多さ、人間関係の不和といった要素です。

これらのどこかで過度にストレスを抱えることにより、エネルギー不足を引き起こしてしまうのです。

子どもたちの心の中には、コップがあり、その中に自信の水が入っています。

学校という外の社会に出ていくことは、子どもにとってエネルギーをたくさん消耗する「戦闘モード」の状態であることが多いです。

その代わり、エネルギーを消耗し終わった後は、家庭でしっかりと充電をして、翌日また学校に向かうのです。

しかし、不登校になってしまう子どもたちの家庭は、得てして、家庭が充電をする場所になっていない場合が多いのです。

親から文句を言われたり、否定されたり、もしくは、子どもが多大な気をつかわなければならない環境であったりするのです。

それでは、エネルギーを消耗し切ってしまい、不登校になってしまうのも当然と言えるでしょう。

このような子どもたちが、不登校にならなかった場合、大人になってから、大きな失望感を味わう事象を引き起こします。

不登校はある意味、育て直しのチャンスを親に与える、子どもの素直な行動や気持ちの表れとも捉えることができるのです。

不登校を復活させる「コンプリメント」

では、子どもが不登校になってしまった場合、どのようにして育て直しをするのでしょうか。

『不登校は1日3分の働きがけで99%解決する』という本を執筆した森田直樹氏は、自信の水を作り出すコンプリメント(褒め言葉)さえあれば解決するということを述べています。

不登校の子どもを抱える家庭では、充電基地として家庭が機能していないことは先に述べました。

ならば、その本来の家庭の機能を取り戻そうというのが、森田氏の主張していることなのです。

まず、ドクターである森田氏と保護者で約束の取り決めをします。

「1日3回コンプリメントを行うこと」

「コンプリメントを行うときは、『○○をする力があるね』『○○してくれてうれしいよ』という言葉を使うこと」

「世界一幸せな親の気持ちになってこれらの言葉を掛けること」

「コンプリメントを必ず記録すること」

といった約束です。

不登校は家庭教育が結果の一端を担っているので、親としての再教育も同時に行う必要があるのです。

このような取り決めを行うときに、「私は褒めるなんてできません」「褒め方が分かりません」といった大人の方々が必ず現れます。

それは、その方々が幼少期に褒められて育っていないことが原因となっています。

ですから、ある意味、親の責任ではなく、その親、そのまた親といった世代で受け継がれてきた問題でもあるのです。

それを断ち切って、方向転換するのですから、ドクターとしっかり約束をして、親自身を励まし、支え、導いていく中で、親が変わり、そして子どもが変わっていく。

今までは、子どものエネルギーを奪う場所であったかもしれない家庭が、子どもにエネルギーと自信の水を与える場に、少しずつ変化していきます。

だからこそ、どれだけ年数が掛かろうとも「99%解決する」のです。

子どもたちにとって、家庭や親の言葉掛けがどれほど生きる力に影響を与えているかが、よく分かる事象だと思います。

戦前・戦後の時代は、どうしてもDoingやHavingに集中しなければならない時代でした。

ですが、昔ながらの温かい気質、地域みんなで子どもをみる社会や二世帯住居などによって、Beingが補われてきたのです。

しかし、学歴社会を引きずる現在の親世代は、子どもにDoing、Havingレベルの要求ばかりしてしまいます。

「テストでいい点を取らなければ将来安定した仕事に就くことができない」

「社会で地位のある職業に就かなければ恥ずかしい」

などといった価値観です。

だからこそ、Beingが見過ごされ、家庭のBeingの欠落が起きているのです。

そして、それを補う地域内の助け合いも、学校との隣人のような接触も、二世帯での支援もない。

だからこそ、家庭だけでBeingを補い切れない家族が崩壊を起こしています。

家庭をコンプリメントができる場に

私たち、飛び級教育システムラボは、そのような家庭だけで子育てをせざるを得ない今の時代を生きる親御様、お子様の味方・協力者でありたいと願い、このような事業を運営しています。

「親だけでは限界があるから、誰かと手を取り合いたい」といった思いを持つ親御さんとつながり、一人ではなく、大人たち皆で、未来ある子どもたちを育てていきたいと思っています。

だからこそ、家庭教育という形にこだわっています。

家庭で子どもをみる時間を作り出し、子どもにコンプリメントを与える機会を少しでも多く作り出したいと思っているからです。

子どもに対して否定的な言葉が出てしまいがちな家庭でも、子どもとの共同作業を通してなら、自信を与える時間に変換することができる場合が多いです。

「読み聞かせ」が顕著にそのことを表しています。

読み聞かせの時間は、否定的な空気は入ることはなく、親子で一緒に本を楽しむという共同作業の時間です。

だからこそ、子どもたちが真に楽しめる学習プログラムを親子で共同作業をすることによって、より子どもに自信の水を与えるコンプリメントが出やすいようにと設計しています。

そして、子どもに自信の水をたっぷり与えることにより、結果として学力も思考力も向上していきます。

もし、私共の考えに共感してくださる親御様がいらっしゃれば、是非、手を取り合って、子どもたちの未来を共に創造することができたらと思っております。

最後まで読んでくださりありがとうございました。